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1: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 04:58:28.493 ID:eaJtAU8F0
これは高校生の頃の話なんだが、俺は地元から離れて農業系の学校に進学したかった。
当時は再放送で流れていた「北の国から」に憧れていて酪農関係の仕事に就きたい、なんて安直に考えていた。
しかし学校の偏差値も下のくせにそういう職業に憧れをもつやつも結構集まって倍率は2倍近くあり、頭の悪い俺は受かるかどうか分からなかった。
試験日当日は受験生がたくさんいて皆同じ学校の友達同士で和気あいあいとしている中、俺の地元からの受験生は俺の他に誰一人いなかったからすごく寂しかった。
そんな中、皆がひと際ちらちらと教室の一点を見つめてざわついていた。
俺もなんだろうと思いながら皆の視線をたどってみると、そこにはすごいきれいな顔立ちをした学ラン姿の小柄な男子生徒がいた。

7: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 05:00:24.874 ID:eaJtAU8F0
彼はそんなみんなの視線などつゆほどにも気にかけず一人黙々と問題集とにらめっこしていた。
俺は問題集の文言をたどる彼の大きな目に引き込まれていた。
実際にジャニーズ系の芸能人とはこういう中性的なやつのことを言うのだろうと受験への不安など忘れて考えにふけってしまっていた。
それから試験を苦しみながらも無事に終えて、なんとか高校に入ることができた。

8: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 05:01:38.720 ID:eaJtAU8F0
高校に入学して数日が経った頃、1か月に渡る各部活の見学が始まった。
ここでいう部活は野球部なんかの皆が思い描いている部活と違って、牛や豚を育てる部活を決めるこの高校本来の部活動を指している。
だから時間割には畜産と書かれていて、その時間に自分で決めた部で活動するのだ。

10: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 05:02:55.906 ID:eaJtAU8F0
そんな部活見学を通して俺は重大なことが分かった。
それは牧草アレルギーであったことだ。牧草の細かい粉塵を吸い込むと呼吸困難になり、とても牛の世話をすることができない。
俺はそれ程牛への情熱がある訳でもなく、ただ何となく楽そうだなと思った牛乳などを使い乳製品を作る部へと入部を決めた。
そしてクラスでも何人か俺と同じように無気力な友達が出来たりして、結構充実した日々を送っていた。

12: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 05:04:33.691 ID:eaJtAU8F0
そして各々が部活を決めて部内でレクリエーションが行われた。
男子が俺を含めて4人、女子が8人と男子勢は少なかったが、その中に俺のよく知る人物がいた。
受験時に注目を浴びていたあの美男子だ。
仮にそいつがすごくドラマであった「花ざかりの君たちへ」の堀北真希によく似ていたので、名前を堀北とする。
堀北とはクラスが違っていてこうして目の前で会うのは受験の時以来だった。
堀北がいると周りの女子は明らかに俺ら普通の男子といる時と違う視線を送っていた

13: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 05:05:48.523 ID:lg/VkK+10
農業高校で牧草アレルギーとか致命傷じゃん

15: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 05:07:13.645 ID:eaJtAU8F0
>>13
まじで終わりかと思ったけど、周りにはそういうやつも結構いて気持ち的に助かった部分もあるよ。

84: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 06:17:16.102 ID:vypmB/c30
>>13
君が草なら僕は花だ...w

14: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 05:05:54.624 ID:eaJtAU8F0
そんな視線を知ってるのか知らないのか堀北は俺に向かって「よろしくな!」と握手をもとめてきた。掴んだ堀北の手は本当に小さく柔らかかった。
堀北の身長も160センチくらいで男子の中では一番背の低い部類だった。
そんな堀北のさらさらな前髪が目元まで垂れている中、大きな瞳だけは俺をつかんでいた。
そんな瞳に吸い込まれてしまいそうになりながら俺はとっさに言葉を返そうとした。

「お前、かわいいな。」

なんてことを口走ってしまったんだ。俺は背中に嫌な汗をかきながら言い終えてから、ひきつった笑いを口元にはりつけたまま手を離すことが出来なかった。

17: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 05:08:12.354 ID:eaJtAU8F0
周りの奴らも時間が止まったのか誰一人声を出すものがいなかった。
やってしまった…。
俺はこれから女子たちの間でキモいカマ野郎と罵られることを覚悟した。
すると堀北を掴んでいた手から振動があった。視線を堀北に向けると、体を前にして小刻みにプルプルと震えていた。そして我慢できなくなったのか大きな声で笑い出した。

18: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 05:09:53.478 ID:eaJtAU8F0
俺をはじめ周りの奴らがきょとんとする中、堀北はヒーヒー言いながら目元の涙を拭って
「男子に言われたのは初めてだぜ。しかも初対面のやつに。」と言って握手している手を大きくぶんぶんと振られた。
「お前、おもしろいな。」
それから俺は堀北と友達になれた代わりに、女子から陰でホモ野郎と呼ばれてしまうことになる。

19: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 05:10:53.376 ID:eaJtAU8F0
畜産の時間割は1週間の内、月曜日の5限と6限、金曜の3限と4限の4時間組み込まれていた。
しかし大半の部ではそんなの関係なしにほぼ毎日動物たちの世話を行っている。
それは土日なんかの休日も含まれ、酪農部においては朝の5時から搾乳などで部活が始まる。
だから泊まり込みで作業なんてざらだ。けど相手は命ある動物だ。真剣に向き合わないといけない。
それに引き換え俺が所属していた乳生産部では、ほぼイレギュラーなことがない限り時間割通りに部活があるだけで、大半の放課後は暇だった。

20: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 05:11:48.854 ID:eaJtAU8F0
そんな何もない放課後、俺はクラスメイトの男子とどうでもいい話をダラダラと続けていたら教室に堀北が現れた。
「なあ斎藤、部活入ろうぜ!」
(俺の名前は適当に変換したら出てきた斎藤、でいきます。)
「え? 部活なんて入ってるからいいよ、遠慮しとく。」
「いや、本当の部活だって!」
堀北とはあの自己紹介の一件以来、よく話すようになり授業が合同になる時なんかは席を隣同士にして一緒に授業を受けていた。

21: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 05:12:56.727 ID:eaJtAU8F0
「なんだ、堀北かよ。とりあえずお前もこっちにきてヨシ先生が結婚してるか話そうぜ」
「いや、お前はいつそんな話を持ち出したんだよ。今の話はいつから金曜のドラえもんを見なくなったのかを話してるところだろうが。てか、お前ヨシセン好きなん?」
「お前ら、相変わらずしょうもない話ばかりしてるな。」
堀北の周りにはいろんな友達がいて、学年では一番顔が広く、誰からも話しかけられていた。
それはあいつ自身、話しやすく誰にでも優しく接しているから自然と人が周りに集まってきた結果かもしれない。

23: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 05:14:16.617 ID:eaJtAU8F0
「そんなことより、斎藤。お前帰宅部のままだろ?まだ見学OKの部活あるから暇なら見て回ろうぜ。」
堀北はそう提案してきたが俺は内心あまり乗り気ではなかった。だが、周りの奴らもついて行くことになり、強制的に俺も駆り出されることとなった。
道中、様々な部活から声を掛けられては、その部室へと顔を出した。しかし、どの部活を見学していても、皆堀北のことばかり注視していた。

25: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 05:15:34.314 ID:eaJtAU8F0
だから先輩方は堀北ばかりに声を掛けていたので、俺たち冴えない陰キャ組は端っこでかわいい女の子をじっくりと眺めることが出来た。
しかし、その可愛い女の子も堀北へと吸い寄せられてしまうので、その度にため息が一斉に漏れた。
あらかた部活見学も終盤を迎えたころ家庭科室から1年生の女子が飛び出てきた。
何事かと思うと女子たちは堀北を捕まえて「今日最後の調理実習があるから寄って行って!」と俺たちを手招いた。

26: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 05:16:53.863 ID:eaJtAU8F0
結果から言えば料理研究部の女子達が堀北としゃべりたいがために半ば無理やり俺たちを強引に誘っただけだった。
堀北の周りには女子達がわらわらと群がっていたが、俺たちの周りはやはり誰もいなかった。
もうそれは諦めよう、と俺たちは励ましあってから調理を始めた。
作るメニューは野菜炒め。本当は部活見学はすでに終わっていて堀北を呼びたいがために余りもので調理することになった。

27: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 05:18:12.696 ID:eaJtAU8F0
俺はニンジンを切ることになったのだが、小、中と調理実習では持ち前の不器用さから米研ぎしか任せてもらったことがないから思うように切れない。
ニンジンが滑ってまな板から落ちてしまった。慌てて拾おうとしたところ「何やってんの、お前。」と堀北が心配そうにニンジンを拾ってくれた。
「すまんな、俺こういうの苦手なんだよ。堀北、代わりに切ってくれないか?」
「え?ちょっと待てよ、とりあえず諦めんなよ。」
そう言って堀北は笑った。

28: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 05:18:59.867 ID:eaJtAU8F0
「ほら、いっしょにやってやるからさ。」
「は?」
すると突然、堀北が俺の後ろに回ってきた
「ほら、こうやって持つんだよ。」
後ろからぴたっと温かい体の体温が背中から伝わり、腕にひんやりとした堀北の手の感触がじわじわと手探りで俺の手を求めて這い上がってきた。

29: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 05:20:02.681 ID:eaJtAU8F0
「てか、お前体デカすぎて前が見えないんだけど。何食べたらこんなにでかくなるんだよ。」
堀北は精一杯手を伸ばそうと顔を俺の背中に押し付けてきた。
ワイシャツから堀北の吐息が漏れる度にそこだけ湿っぽくて暖かい。
「堀北、お前が小さいんだよ。て言うか、俺はどうしたらいいの?」
俺は困惑の声を漏らした。背中越しに堀北の吐息混じりの声が聞こえて、なぜか俺は居心地が悪くなった。

30: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 05:21:07.199 ID:eaJtAU8F0
「とりあえず、体を小さくしろよ。」
「いや、無理だろ。それならお前が前に来て教えてくれよ。」
「なんか、それは嫌だ。悔しい!」
堀北の手が意地になったのかバタバタと動き始めて、俺の手元の包丁が滑った。
「あっ。」
気づいたときには包丁の切っ先が指に触れてしまった。
指の先からぷくっと血が浮き上がる。

31: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 05:21:52.567 ID:eaJtAU8F0
異変に気付いたのか堀北が体を離して俺の手元を見て短く叫んだ。
周囲にいた奴らも堀北の声に気付き集まってきた。
「何やってんだよ、斎藤。ドジだなぁ。」
「いや、すまん。久しぶりだから容量分からなくてな。」
すると突然、「斎藤!保健室!」と堀北が俺の手をつかんで駆け出した。
「え?おい、堀北、大丈夫だって!こんなの怪我のうちに入らないよ。」
「うるさい!とりあえず行くぞ!」
俺は堀北に引きずられるようにして家庭科室を出た。

32: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 05:22:43.236 ID:eaJtAU8F0
「おいおい、本当大丈夫だって!」
「だって、血が出てるし。」
慌てている堀北を落ち着けるために今度は優しく語りかけた。
「堀北、俺は全然痛くねーよ。だから、大丈夫。」
するとピタッと堀北が止まり、小さな声で何かつぶやいた。俺は堀北に顔を近づけた。
「…ごめん。」
堀北は消え入りそうな声でそうつぶやいた。

33: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 05:23:45.846 ID:eaJtAU8F0
「馬鹿だなぁ、なんでお前がそこまで思い詰めて謝るんだよ。」
「だって、俺が変な意地を張ったせいで、お前を怪我させたんだ。」
堀北はそう言うとまた小さくごめんと謝った。
「堀北、いいか。こんなのは唾をつけてたら治るし。何より、俺もはしゃいでたから俺も悪いんだよ。だから、落ち込むなよ。」
そう言うと堀北は押し黙りそっと俺の怪我している指を持ち上げた。
俺はその行動の意味が分からないまま堀北は俺の指を自身の口へと近づけていく。

35: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 05:24:54.903 ID:cFRkfJXd0
モテすぎだろ堀北

36: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 05:25:03.785 ID:eaJtAU8F0
「…って、何してんだよ!?」
俺は慌てて堀北の手を振りほどいた。
「何って、治そうとしただけ…。」
「いやいや、そういうのは自分のやつで治すの!」」
うつむいた堀北の落ち込んでいる顔の濡れた唇につい目がいった。
そしてそのばかげた妄想を消そうと頭を振って打ち消した。

37: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 05:26:57.930 ID:eaJtAU8F0
「でも、とりあえず保健室には行こうよ。」
「あ、まあ、そうだな、とりあえず行くか。」
そして、俺たちは保健室を目指して歩き出した。
その道中、やはり気になって堀北に聞いた。
「なあ、お前って他の誰かの指をなめたりすの?」
「…はぁ?」
すると堀北は目を大きくさせて頭をぶんぶん振った。
「そんなこと、するわけねーだろ!」
堀北は怒ったのか俺を置いて早歩きで俺から離れていく。
その背中を見つめながら何故か「他の男の前でそんなことするなよ。」と叫んでいた。
堀北はピタッと歩を止めて後ろを向かずに「ばーか!」と言い放ち、また速足で歩きだした。
結局、部活はラフにいきたいという俺たちの思いから、廃部寸前の文芸部に俺たち2人で入部した。

38: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 05:28:35.347 ID:eaJtAU8F0
7月中頃、俺たちは放課後に乳加工部にてアイスの製造を行っていた。
作り方は大きな窯にて生乳を煮沸消毒し、砂糖なんかを入れて攪拌。
あとはミニストップなんかに置いてあるアイスを貯蔵する機械に入れて、冷凍、押し出し、容器に入れるという一連の作業を各々分担しながら作業場を走り回っていた。
気温が上がる度にアイスの売り上げは伸び、週に2回程度の実習で賄われていたアイスの製造はほぼ毎日放課後に製造しないと追いつかなくなる事態に陥っていた。

40: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 05:29:42.617 ID:eaJtAU8F0
この日も全学年の乳加工部員が集まりアイスの製造及びコーヒー牛乳等の飲料品の製造を行っていた。
「これじゃ、まるで工場で働いている気分だよ。」
堀北は生乳がたっぷりと入った缶を床に起きながら愚痴をこぼしていた。
「しゃーないよ、これが終われば夏休みだ。夏休みは乳加工部の活動はほぼないし、他の部と比べればこんなに楽な部はないよ。」
俺は堀北が置いた缶を持ち上げて生乳を窯へと入れていく。

41: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 05:31:20.535 ID:eaJtAU8F0
それが終われば今度は缶を洗いに洗い場へと行く。
道中、目の前からポニーが歩いてきた。
「おお、ポニー!」
堀北が目を輝かして駆け寄っていく。ポニーを連れ添って散歩していたのは2年の女子であった。
先輩である彼女は俺たちの実習服の色から1年生ということが分かったのだろう、ポニーに触っていいよと心優しく提案してくれた。

42: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 05:32:19.354 ID:eaJtAU8F0
「やったー!ありがとうございます!」
無邪気にポニーを触ろうと手を近づける堀北を俺は制した。
「おいおい、今実習中で触っちゃやばいだろ。」
そんな俺の静止を振り切り堀北は両手でポニーの顔をわちゃわちゃとなでていた。
「いいのいいの、後でもう一回洗うから。」
いつの間にかポニーは堀北の顔面をなめ回し、堀北はぎゃーぎゃー言いながら喜んでいた。
ちなみに俺が触ろうとした時は腕をかまれて大きなあざになった。

43: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 05:33:56.934 ID:eaJtAU8F0
高校では至る所が動物であふれかえっていた。
言うなれば動物園みたいに至る所で様々な動物と触れ合えた。
だから1年生である俺らにとっては飽きることのない学校だった。
放課後は2人で文芸部に顔を出してだべったり、乳加工部の他の面々と更衣室でトランプなんかして暇をつぶしていた。

44: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 05:34:50.722 ID:eaJtAU8F0
その日も実習終わり堀北と学校近くの肉屋でコロッケでも食いに行こうと話していたのだが、急に堀北はちょっと待っててくれと告げて更衣室を出た。
6月の半ばで堀北は時々、訳を話さずにどこかへ行くことがあった。
不思議に思いながらも、更衣室で俺は着替えを済ませていると乳加工部の安本が大きく息を吐いた。
「堀北の野郎、また行きやがった。」

45: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 05:36:20.390 ID:eaJtAU8F0
俺は安本の言葉の意味が分からずに真意を訪ねると彼は目を丸くして「お前ら、いつも一緒だから知ってるのかと思ったわ。」と大げさに驚いて見せた。
「あいつ今日もまた告白されてるの。」
最初何のことか分からないくらい衝撃だった。
そんなこと堀北の口から聞いたことがなかった。

46: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 05:37:17.348 ID:eaJtAU8F0
「これまでにざっと4人から告白されてるんじゃない?」
こともなげにそう言う安本にこれまでに誰に告白されたのかを聞いたところ、入学当初から可愛い、美人だともてはやされていた女子達の名前が挙がって更に驚いた。
そんな話をして盛り上がってきたところで堀北が帰ってきた。
「何の話して盛り上がってんだよ。」
安本はじめ俺を含む男子はにやにやと堀北を見るばかりで、堀北は不気味がっていた。

47: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 05:38:25.765 ID:eaJtAU8F0
それからみんなで肉屋に寄ってコロッケをほお張り、日が沈むまで他愛もない話を続けた。
そんな時間がとても楽しかったし、今でもあの時の梅雨前の少し濡れた空気、夏虫たちの音色、遠くで聞こえる遅くまで練習している吹奏楽部の練習している活気に満ちた音色は今でも思い出すことが出来る。

48: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 05:39:31.190 ID:eaJtAU8F0
そして完全に日が沈む前に俺らは帰路についた。
俺と堀北は途中まで電車が一緒だった。
この日は何故だか、あまり話さなずに口数がお互い少なかった。
電車が堀北を下す駅まであと数駅と近づいてきたとき俺は思っていたことを口にした。
「なあ、堀北。お前、なんで女子と付き合わないの?」

50: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 05:41:36.807 ID:eaJtAU8F0
>>48
誤字だらけですまない。
話さずに、なのに、話さなずに、ってなんだよ笑
あと、下す、ってのは、降りる、の間違いです。
すみません。

52: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 05:43:29.087 ID:eaJtAU8F0
堀北は驚いたのか目を大きく開いて俺をまじまじと見つめた。
「急になんだよ。」
「いや安本達から聞いたんだけど、お前今日も放課後女子から告られたんだろ?」
堀北は頭を抱えて「なんで知ってんだよ。」とつぶやいていた。

53: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 05:44:42.463 ID:eaJtAU8F0
堀北はやはりモテていた。
こいつは前にも話したが誰にでも優しく接するし話を聞くのも上手く、ついつい皆、彼にいろんなことを話したがるのだ。
そして極めつけはやはり顔であった。こいつほど整った、中性的な顔立ちの野郎なんて見たことがないくらいきれいだった。
そんな堀北に惚れるのは当然だった。

54: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 05:45:38.913 ID:eaJtAU8F0
「で、今回はどうだったの?OKしたの?」
俺は興味本位で堀北に詰め寄った。堀北は眉根を寄せて不快感をあらわにした。
「するわけねーだろ。相手のこと、俺あんま知らないし。」
「なんだよ、断ったのか。残念だな。ていうか相手は誰だったん?」
すると堀北の口から1つ上の乳加工部の先輩の名前が挙がり俺は思わず驚いて叫んでしまった。

55: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 05:46:59.196 ID:eaJtAU8F0
「うるさい!他の人も乗ってるんだから静かにしろ!」
「いや、でもだって、あの先輩ってすげー可愛いじゃん!しかもお前もよく知らない言うけど、よくしゃべってた人じゃん。えー、なんでそんなもったいない。」
「なんだよ、もったいないって…。まあ、そういうことだから。」
電車が減速し始め、いつの間にか電車は堀北が降りる駅まで来ていた。

56: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 05:47:58.048 ID:eaJtAU8F0
なおもぶつぶつ文句を言ってる俺に堀北は降り際に、「あ、そうだ。断った理由もう一つあった。」と言って立ち止まった。
不思議に思い、堀北に目を合わせると

「俺、お前といたほうが楽しいから。」

堀北は微かな笑みを浮かべて電車から降りていった。
「なんだ、あいつ…。」
残された俺はポカーンとしたまま思考停止しても電車は動き続け、ただただ揺られるのみであった。

57: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 05:49:57.152 ID:eaJtAU8F0
くー、疲れました。
誰か見ている人いますか?

58: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 05:50:43.403 ID:1qWFGc0s0
見てるぞ!

59: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 05:51:17.167 ID:LhG2kfIpa
みてます
しえん

61: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 05:53:33.642 ID:eaJtAU8F0
よかった。
見てくれていると安心感がある笑
じゃあ、続きを書きます。

62: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 05:54:37.363 ID:eaJtAU8F0
文芸部の活動は主に月に1度、校内新聞のコラム欄に短編の小説を載せたり、校内で募集した俳句なんかをこちらで精査して新聞部に回したりしている。
この日も部活動も部員は5人中、俺と堀北のみの出席となった。
「今回のコラムはどうする?とりあえず10年くらい前の短編をそのまま載せとく?」
「そうだな。表題に「発掘!短編!」とか付けといたらまあいいか。」
そして俺たちは思い思いに文芸誌の冊子を棚から漁り、目ぼしいものに付箋を貼っていった。

63: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 05:55:49.923 ID:eaJtAU8F0
他の部員といえば皆先輩で、俺たちが所属している乳加工部とはまた違った愛玩動物(主にペットと呼ばれる動物)を育て、移動動物園をしている部や、
鶏や豚を育てて加工までする部などの多忙な部に所属している為、文芸部に顔を出すことはほぼ稀な出来事なのであった。
実際、俺と堀北は小説なんかの本を読むことは好きだったが、書くことに関してはこれっぽちも興味がなかった。

65: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 05:56:52.884 ID:eaJtAU8F0
だから入部してから校内新聞で自分たちの作品を出せと言われた時は本当に困った。
試しに執筆してみても俺は読んでもらって分かる通り、文法も滅茶苦茶でいろいろと読みにくく、堀北は星新一のショートショートをそのまま丸写しする始末であった。
だから顧問もあきれ果てて、自由にしなさいと言うしかなかった。

66: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 05:58:24.453 ID:eaJtAU8F0
でも読む分には本当に面白いものを知ってもらいたかったし、半端なものを載せる気もなった。
だからこれまでに顧問からはNGをくらったこともない。
互いにページをめくる紙のかすれた音だけが室内に響く、静かな放課後だった。

67: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 06:00:56.257 ID:eaJtAU8F0
そして2時間程経った頃、チャイムが鳴り響いた。
「なあ、斎藤。」
「ん?どしたー?」
堀北は気だるげな視線を送ると「クーラーが欲しい。」と言い、手であおぐしぐさをする。
「そんなこと言ったって、部での経費なんて無いに等しいし、何より俺らしかいないから用意なんてしてくれる訳ないだろ。」
「でもよー、欲しいじゃん、クーラー。」

68: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 06:01:42.420 ID:eaJtAU8F0
それから堀北は駄々っ子のようにクーラー、クーラーと言い続けて机に突っ伏し騒いでいた。俺は堀北が出した冊子をまた明日にでも読もうと机に固めて帰る支度をしていた。
「あ、そうだ。」
突然堀北はがばっと顔を上げると
「夏休み、行きたいとこあるんだけど!」と目を輝かして俺に提案してきた。

69: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 06:02:51.778 ID:eaJtAU8F0
夏休み期間中は他の動物系の部活は生き物を扱ってるから当然と言えるが休みはなく、交代制で当番を行っている。
だから、他の高校生の夏休みに比べて学校に通学する回数は果てしなく多い。
そんな中でも乳加工部は、活動の源である校内販売がない為に通学回数はほぼなく、代わりに顧問の先生の畑を手伝うことが恒例となっていた。
その回数は1回だけ。今考えると本当に楽であった。

70: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 06:04:57.782 ID:eaJtAU8F0
そんな暇を持て余していた俺は堀北に誘われ連れていかれたのが水族館だった。
理由はなんでも「クーラーがないなら、自分たちが涼しくなれる場所にいこうぜ!」という単純なものだった。
「おーい、はやくこいよ!」
無邪気にはしゃぐ堀北の姿を見て、夏のうだるような日差しの中、わざわざ遠出までして来た甲斐はあったなと思った。

71: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 06:05:44.791 ID:eaJtAU8F0
堀北の服装は当たり前だがいつもの制服姿ではなく私服だったこともあり、より新鮮に感じられ徐々に俺の中でのテンションが上がった。
「で、お前は夏休みに水族館に行きたいなんてどうしたんだよ。こういうのは彼女とデートとかするところだろ?」
俺は極力うれしさを顔に出さないよう、わざとそっけなく質問した。

72: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 06:06:26.797 ID:eaJtAU8F0
堀北は受付でお金を出してチケットを1枚俺に渡しながら
「こういうのは野郎同士で行くから楽しいんだろ?分からない?」
堀北はそんな俺のそっけない質問にも満面の笑顔で答えてくれた。
俺はどういう顔をしていいか分からず頬をかいた。

73: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 06:07:42.658 ID:eaJtAU8F0
それからは、はしゃぐ堀北についていきながら様々な水槽を覗いて回った。
水槽で泳ぐ魚はどれも神秘的に輝いていて美しかった。
そんな水槽の中の魚を見つめる堀北の顔もまたきれいであった。
ずっと見ているもんだから堀北に「何?なんかついてる?」と聞かれてもうまく答えられなかった。

75: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 06:09:37.750 ID:eaJtAU8F0
1時間程、水族館の中を見て回った後、イルカショーに顔を出して、運が悪いのか俺だけドルフィンジャンプをもろに食らって水浸しになった。
そんな姿を堀北はケタケタと笑うもんだから、俺もつられて笑ってしまった。
それから服を乾かすために水族館を出て、水族館近くの浜辺まで移動した。

77: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 06:10:30.396 ID:eaJtAU8F0
海はお世辞にもきれい色ではなかったが見ているだけでなんだか涼しく感じた。
「なあ海にも泳ぎに行きたいな。」
唐突に堀北は海を見つめながらそんなことをつぶやいた。

78: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 06:11:48.976 ID:eaJtAU8F0
「だな。俺も海でいろいろやってみたいな。」
「例えばどんなことしたいの?」
「そうだな。まずはスイカ割りだろ。それから海の家でかき氷なんか食ってな。」
「なら今から海の家行こうぜ。かき氷くらい売ってるだろ?」
俺は堀北に顔を向けると肩をすくめてみせた。
「馬鹿だなあ。そういうのは本当に泳ぎに行った時に行くから楽しいもんだろ?」
堀北はポカンとした顔をしたかと思うと、笑い出し「そうだな。」と同意してくれた。

79: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 06:12:48.541 ID:eaJtAU8F0
それから服が乾くまで二人で砂浜に腰を下ろして海を眺めた。
波の音だけが響き、俺たちの間に会話はなかった。
とても充実した時間だけが過ぎていった。

80: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 06:14:05.835 ID:eaJtAU8F0
「なあ、斎藤。あれ何?」
俺たちは帰る為に駅まで徒歩で歩いている時に商店街でちょっとした人だかりを見つけた。
近くまで行ってみるとそれは商店街が催したドクターフィッシュのお試し会だった。
親子連れやカップルがプールの水に足を入れてキャッキャッとはしゃいでいた。
足には無数の黒い魚がまとわりつき、皆が楽しそうに笑っている。

81: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 06:15:05.860 ID:eaJtAU8F0
「堀北、なんかあれ面白そうだな。」
「斎藤、それは俺も思ってた。」
俺たちは顔を合わせるとニヤリと笑い、列に加わった。
待っている間、堀北は前に並んでいた家族連れの親子の子供とじゃれあっていた。
俺はそんな楽しそうな笑い声を聞きつつ、海を眺めてどこまでも広がる水平線に何故か柄にもなく郷愁を抱いていた。

83: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 06:16:10.400 ID:eaJtAU8F0
並び始めて15分くらい経ったころ順番が回ってきて、俺たちは靴を脱いでプールに足をそろりと入れた。
するとみるみるうちに魚が集まってきて俺たちの足は取り囲まれてつつかれ始めた。
「うわぁ、なんか食べられている感じがする!」
「というか、なんだかこそばいぞ、これ。」
「あ、でもなんだか体の汚れが取れている感じがする。」
「噓つけ。」
堀北は楽しそうに笑みをこぼしていて、そのすらりと伸びた白い足は水に反射してまぶしかった。

85: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 06:17:18.308 ID:eaJtAU8F0
それから5分間、ドクターフィッシュを堪能した俺たちは帰りの電車に揺られながら満足感でいっぱいだった。
「また行きたいな。」
堀北が口をこぼす。
「馬鹿だなあ。また行くんだよ、絶対。」
俺はそんな堀北に明るく答えると堀北の頭をこつんと小突いた。

86: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 06:18:16.488 ID:eaJtAU8F0
堀北は小突かれた後、ポカンとしていたが、笑みをこぼしながら「約束な。」と小指を突き立てた。
俺は黙って笑いながら堀北の細い小指に自分の指を絡ませて頷いた。
電車は俺たちが住んでいる街へとゆっくりと進む。
俺たちは疲れたのか互いに体を寄せ合いながら寝てしまった。
堀北の頭からどこか潮の、海の香りを感じながら心地よく夢の世界へといざなわれた。

87: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 06:20:33.285 ID:eaJtAU8F0
書き留めは以上になります。
ちょいと眠気がやばめなので寝ます。
昼まで残っていたら続きを書きたいなと思います。
すみませんが、支援してくれた方々、しばしおやすみなさい。。

89: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 06:23:58.935 ID:1qWFGc0s0
続きが気になる
おやすみなさい

90: 1です。 2018/08/11(土) 06:26:13.449 ID:eaJtAU8F0
ご参考までに、まんまこんな感じです。
no title

108: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 08:10:40.796 ID:cFRkfJXd0
文章うまいな
読ませるわ

110: 1です 2018/08/11(土) 08:43:50.410 ID:eaJtAU8F0
ID変わるかもしれないのコテハンつけときます。。

111: 1です 2018/08/11(土) 08:45:36.504 ID:eaJtAU8F0
夏休みは思った以上にすぐに終わり、またいつもの実習と気だるい授業の日々へと戻った。
それでも夏休み中は先ほど書いた堀北とのミニ旅行や、他にも安本たちとラウンドワンなんか行ったりして中学の頃に比べものにならない程、充実した休みを過ごすことができた。
季節は秋へと移ろいゆく中、学校内は妙に浮足立っていた。
それは毎年恒例の農業祭が開催されるからだ。

114: 1です 2018/08/11(土) 08:48:00.803 ID:eaJtAU8F0
この農業祭は文化祭とほぼ変わりがないものの、地域の方たちが校舎への出入りが自由になる上、自分たちが育てた野菜や果物、加工したハムや牛乳なんかを販売したりする年に一度のお祭りなのだ。
その入場者は2日間合わせて6千人以上来るそうだ。

115: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 08:48:53.638 ID:eaJtAU8F0
俺たち乳加工部は例年、牛乳、コーヒー牛乳、チーズやヨーグルト、アイスなんかを売ったりしていた。
先輩の話を聞いたところ、いつも昼までには完売する程繁盛するそうだ。
そして例によって全学年合同の実習が毎日あり、日々が忙しく回った。

116: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 08:49:46.962 ID:eaJtAU8F0
「なあ、俺さ絶対に工場には就職したくはないな。」
「そうだな。こんな機械な、ましてやモダンタイムスに出てくる機械人間にはなりたくはないな。」
俺たちはまたいつものごとく生乳を牛舎からもらいに行ったり、窯にいれたりと単純作業を放課後から夜遅くまで作業していた。

117: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 08:50:29.059 ID:eaJtAU8F0
「これって、こんなに作る必要あるのかな?」
堀北が大きなバットを持ち上げながら疑問を口にする。
その小さな体を俺はとっさにかばいながらバットをもらう。
「なんでも去年は今の作業分の2倍を作ったそうだけど、売り切れたらしいぜ。」
「うへぇ。それは嫌になるな。」

119: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 08:51:50.083 ID:eaJtAU8F0
※バットっていうのは金属製の大きな四角いお皿のことです。。

そこに安本達が休憩時間であることを伝えにきた。
「ほんまこれって、工場みたいだな。」
堀北は額の汗をぬぐいながら微笑みかけてきた。
「だな。」
大きく背を反らしながら俺たちは休憩に入った。

120: 1です 2018/08/11(土) 08:52:56.788 ID:eaJtAU8F0
実際、やっていることは工場みたいで辟易していたが、それでも普段口にするヨーグルトなどの乳製品がどのようにできているかのを知ることができるのは楽しかった。
休憩時間、俺たち1年男子は加工場の庇の下、車座に座りまだ体験したことがない農業祭に思いをはせていた。

121: 1です 2018/08/11(土) 08:53:43.809 ID:eaJtAU8F0
「実際、こんだけ作ってるから早く帰してほしいな。」
「馬鹿。お前さっきスチームと冷却間違えてヨーグルト30キロ分おしゃかにしただろ。お前がへましなかったら早く帰れてたんだよ。」
「嘘だろ、お前。牛さんに謝って来いよ。」
「牛さんに謝るどころか、酪農部のやつらに八つ裂きにされるわ、お前。」
「口止め料として食堂のアイス人数分な。」
「でも、実際に農業祭って商品を売るだけなんかな?」
堀北は誰にでもなく話しかけた。
すると皆、一様に黙り宙を眺めたりして考えだした。

122: 1です 2018/08/11(土) 08:54:39.594 ID:eaJtAU8F0
「いや、他校と一緒で部活の出し物とかあったりするはずだぜ。」
「例えば?」と俺は先を促す。
「軽音楽部のやつらはライブしたり、演劇部のやつらも劇を開いたりするらしい。ただ他校との唯一の違いはクラスでの出し物がないってことくらいかな。」
俺たちはふーんと言いながら、思い思いに農業祭に想像を巡らせた。
するとヨーグルトをおしゃかにしたやつがいきなり「あ!」と大きな声で叫んだ。

123: 1です 2018/08/11(土) 08:55:25.348 ID:eaJtAU8F0
「うるさい。しばくぞ。ただでさえ疲れてるんだ。お前の声は異常に俺の神経を逆なでやがる。」
安本が激高するが、堀北がまあまあとなだめる。
「ごめんごめん。いや思い出したんだけど、廊下におもしろいものが貼ってあったんだよ。写真撮ってきたんだ。」
なんだよそれ、と皆が携帯の画面をのぞき込む。
そこには校内掲示板のポスターが写っていた。内容は姫グランプリという、言わばミスコンだった。

124: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 08:56:19.217 ID:eaJtAU8F0
「んだよ、これ。どこがおもしろいんだよ。」
「お前のそのくだらない話で俺たちの休憩時間をつぶしたんだ。とりあえずさっきのアイスは×2倍な。」
「いや、ちょっと待ってくれよ。これを読んでくれよ。」
そいつは画面をズームにして俺たちに見せつけた。
「このミスコン、生き物ならなんだってOKなんだぜ!」
と彼は誇らしげに胸をそらして説明しはじめた。

125: 1です 2018/08/11(土) 08:58:09.022 ID:eaJtAU8F0
あああ、コテハンが消えたりするのが本当に鬱陶しい笑
読んでる方、すみませんm(._.)m

対象となるのは生き物だったらすべてOKで、審査員はミスコン会場となる体育館の入場客。
そして俺たちの心を持って行ったのはその優勝景品だった。
景品はその生き物が属している部に与えられる。その景品とは食堂のメニューの定食すべてが1か月無料になることだった。
「つまり、俺たち加工部のやつらの内、誰か一人でも優勝したら無料になるのか。」
それに彼は大きく頷いてみせた。
一瞬期待したが、すぐに落胆した。
「これに誰が出てくれるんだよ。」

126: 1です 2018/08/11(土) 08:59:20.591 ID:eaJtAU8F0
ただでさえ女子が多いのだ。食堂の定食ごときで女子が動いてくれる訳がない。だから加工部の奴らがそんなものに出るわけない。
するとそいつはこともなげに言い放った。
「何言ってんだよ。堀北が出るんだよ。」

127: 1です 2018/08/11(土) 08:59:59.161 ID:eaJtAU8F0
俺と安本は目を丸くして顔を見合わせた後、堀北のほうを向いた。
堀北はこれまでに見たことがないくらい嫌な顔をしていて
「出るわけないだろ。あほらしい。」
と一蹴した。

128: 1です 2018/08/11(土) 09:00:34.273 ID:eaJtAU8F0
「えー、なんでだよ。出てくれよ。お前だったら絶対優勝するだろうし。頼むよ!」
「そうだぞ、堀北。お前顔だけはピカイチでうちの女子にも負けないくらいなんだし。」
そいつと安本は堀北にそう言ってなんとか出てもらおうとわめいていたが、堀北はこの話はおしまいと言った感じで立ち上がり
「ほら、休憩終わり。さっさと戻るぞ。」
と言って聞く耳を持たなかった。
俺はなんだか複雑な気持ちで堀北の後についていった。

129: 1です 2018/08/11(土) 09:02:00.498 ID:eaJtAU8F0
そして時間は過ぎ、夜の7時前になんとか今日のノルマを終えて俺たちは帰ることになった。
更衣室で最後まで増田(愛すべき馬鹿にとりあえず名前をつけた)は堀北を説得していたが堀北は聞く耳を持たなかった。
帰り道、俺と堀北はいつも寄って行く肉屋に寄り、コロッケを買って近くの公園のベンチに腰かけていた。
鈴虫が秋の到来を告げる静かな音色を奏でる中、俺は黙々とコロッケを口に運んだ。

130: 1です 2018/08/11(土) 09:02:51.538 ID:eaJtAU8F0
「なあ、斎藤。」
堀北は食べ終えたコロッケの包装紙をくしゃくしゃに丸めながら前を向いたままつぶやいた。
「お前はどう思う?ミスコン。」
俺も前を向いたまま頬杖をつきながら
「何が?」とそっけなく聞き返した。

131: 1です 2018/08/11(土) 09:03:56.055 ID:eaJtAU8F0
「出てほしいと思うか?」
堀北の声は平坦に聞こえた。だけどどこか寂しさが見え隠れしている、そんな風に聞こえた。
俺はひとつため息をつくと
「分からん。…、けどまあ、無理に出なくてもいいんじゃないか。」
と答えていた。
堀北の顔は暗闇に紛れていて上手くとらえることができない。
「…そっか。」
堀北の声が暗闇に消える。

132: 1です 2018/08/11(土) 09:04:29.837 ID:eaJtAU8F0
「けどさ、」
俺は何故かこれだけは言っておきたくてしょうがなかった。
だから考えるよりも口が先に出てしまった。

「お前が出たら、絶対にきれいだと思うよ。…いや、思うじゃないな、絶対誰よりも美人だぜ。」

133: 1です 2018/08/11(土) 09:05:04.576 ID:eaJtAU8F0
俺は言い終えてから、頭からサーっと血の気が引いていた。
なんと堀北に弁明しようか考えてあたふたしていると、暗闇の中で堀北の体が小刻みに揺れていた。
「お前、ほんとうにおもしろいよな。」
そう言って堀北は笑ってくれた。
その姿を見て俺も安心したのか釣られて小さく笑ってしまった。

134: 1です 2018/08/11(土) 09:05:57.199 ID:eaJtAU8F0
それから二人でひとしきり笑った後、はー笑った、と堀北はベンチから立ち上がり
「そこまで考えてくれたなら、俺も考えるわ。」
と堀北は俺のほうを向いて、そう答えてくれた。
その顔はやはり暗くてよく分からなかったけど、心なしか満足そうな、そんな顔をしているかのように見えた。

135: 1です 2018/08/11(土) 09:09:55.659 ID:eaJtAU8F0
とりあえず書き留め分がまた終わりましたので、しばしの間また少し仮眠して書きたいと思います。
保守してくれている方、本当にありがとうございます。。
もし、落ちてもまた同じスレ名前で立ち上げたいと思います。
ではでは、また昼頃にでも始めますので、宜しくお願いします。

137: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 09:20:59.121 ID:d9rVTf100
ズボンは脱いでいいんだよな?

138: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 09:24:57.619 ID:NSnCZsyk0
ズボン脱いだ

142: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/11(土) 10:06:37.007 ID:brNkqa2n0
堀北はずるいわ
堀北真希の顔した男想像しちまう

元スレ:http://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1533931108/